松山短期大学卒業式

更新日:2016年4月1日

カテゴリ:キャンパス情報

 松山短期大学卒業式
卒業生一人ひとりに卒業証書が手渡された。

 ☆ 上杉松山短期大学学長式辞 ☆

 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
 ご多用のところご参集くださった、ご父母の皆さま、ご来賓の各位、学校法人松山大学の役員の方々に厚く御礼申し上げますとともに、松山短期大学の教職員一同を代表して、心よりお慶び申し上げます。

【上杉学長式辞】

         【上杉学長式辞】

 本日このよき日を迎えることができたのは、第一には、卒業生諸君が学業において精励を重ねたことに拠りますが、同じように重要なのは、諸君らを見守り、時には厳しく、時には優しく導いてくれた方々のおかげであると思います。

   今年は、東日本大震災から5年になります。震災発災直後には、生死にかかわる状況から何とか生き延びようとする人と人との助け合いが、はっきりと目に見えていました。そのなかで「絆」という言葉が人と人とのつながりを象徴するように、大きな意味を持つ言葉となっていきました。「絆」は5年経ったいまも社会の紐帯として人と人を結びつけています。それは、被災地の方々に思いを寄せるとき、ほんの少しでも募金をするとき、被災地の産品を率先して買うときなどにも姿をみせてくれるのです。
 いま、諸君はこの学び舎から巣立っていくわけですが、たとえ年月が流れたとしても、松山短期大学時代に築いた人と人との「絆」は何年経っても解けてなくなるものではありません。貴重な2年間の経験と学習の成果は、諸君に新しい視野を与えてくれたはずです。2年前に見えなかったことが見えるようになっているはずです。その一つが人と人とのつながりの大切さであると思います。

 松山短期大学は、学校法人松山大学の一員として、校訓三実、すなわち「真実」「実用」「忠実」を建学の精神としています。校訓三実は、学校法人松山大学の前身である私立松山高等商業学校の初代校長加藤彰廉先生が定められたものです。第3代校長田中忠夫先生は、これに解釈を与えられました。「真実」は物事の本質を常に求め続けることを、「実用」は「真実」を照らす鏡として、現実生活に役立つかどうかを吟味しつつ、単にそれだけに終わらせないことを、そして、「忠実」は人に対する真摯な姿勢を、意味しています。とくに「忠実」は、先に述べた「絆」を大切にする気持ちに通じると思います。
 また、「実用」というと、すぐに役立つ知識や技能にばかり目が行ってしまいがちですが、技術革新の速度が加速度的に速くなり、それに伴って社会の変化も速くなっている現代社会では、今日使える技術が明日使えるとは限らないという事態が起きてしまいます。松山高等商業学校が設立されたのは、1923年です。この頃に何が起きたかを振り返ってみると、1923年9月1日には関東大震災が発災し、東京が壊滅的な被害を受けました。そのしばらく前から当時の大日本帝国はアジア諸国を植民地化する活動を盛んにおこなっておりました。また、人々は、第一次世界大戦の余波や、周期的に発生する恐慌に苦しめられていました。
 このような難しい時代を、専門知識を身につけ、乗り越えていく力をつけようと、当時の若者は学問を求めたのでした。当時の最先端の考え方でいえば、貿易実務や外国語を学び、いまでいう貿易商社のような企業で仕事をしていこう、と考えていたのかもしれません。
 ところが、田中校長は、わざわざ校訓三実の解釈として「真実とは、真理に対するまことである。皮相な現象に惑溺しないで進んでその奥に真理を探り、枯死した既成知識に安住しないでたゆまず自ら真知を求める態度である。」とおっしゃり「実用とは、用に対するまことである。真理を真理のままに終わらせないで、必ずこれを生活の中に生かし社会に奉仕する積極進取の実践的態度である。」とおっしゃるのです。
 今から90年近い昔の言葉でわかりにくいかもしれません。要するに「真実は常に変化するかもしれないが、真理である本質を追及し続け、実践に応用していきなさい」ということです。諸君が松山短期大学で学んだことは、単なる専門知識だけではありません。卒業後も精進を続け、時代や状況の変化に対応して実践的に生き抜く力なのです。
 卒業生の諸君。今年度の卒業生75名を加えると、松山短期大学の卒業生は6,600名を超えます。一人ひとり進路は違っても、同じ学び舎で学んだという事実はひとつです。諸君は諸先輩方とつながっていくのです。さらに言えば、諸君らは学校法人松山大学の卒業生の一員であります。そして、学園の創立に際し大変な功績のあった新田長次郎氏の雅号「温山」を冠した、同窓会「温山会」の一員になるのです。
 英語で、高等教育機関の卒業式は「Commencement」といいます。「始まり」ということです。今日この日を始まりの日として素晴らしい人生を切り拓いていかれることを祈念して式辞といたします。
                           平成28年3月15日 松山短期大学学長上杉志朗

卒業生答辞

 坂本綾美さんから、学長先生・お世話になった先生方、職員の皆様、関係者の皆様への感謝の言葉があった。「思い起こせば2年前の4月緊張した面持ちで慣れないスーツを身にまとい、期待と不安の中緊張して入学式に来た2年前、先生方や職員の皆様、新しい友人とスタートをきれました。これまでとは全く違う生活リズムとなりました。初めは戸惑いなれない生活に苦労しましたが、次第に余裕も生まれアルバイト等の学外の活動や勉学に励むこと が出来ました。余暇もどのように過ごせばいいかを考え生活する態度も増え、ここでの生活は時間を有効に活用することの大切を強く感じるものとなりました。学業 においては共通統一科目や言語調査科目を始め、経済・経営・法律といった様々な分野で幅広く関わることが出来ました。高等学校とは違い自らが学びたい科目 を選択することで何に興味があるのか、自分を見つめ直すきっかけになりました。これからの人生の方向を決めることができました。松山短期大学で過ごした2年という日々の中で様々な人に出会い、関わり支えられ本当にあっという間に過ぎたように思います。しかし、その中で 体験した数多くの出会いや思い出は決して一人では得ることのできない宝物になりました。この一生の宝と学んだ多くのことを胸に、これからの未来を素晴らし いものとするために精一杯がんばっていくことを誓います。最後になりましたが、本日この日を迎えることが出来ましたのも、心身ともに陰で支え励まして下 さった周囲の皆様や家族のお蔭と深く感謝いたしております。卒業後も変わらずご指導いただきますようお願い申し上げますとともに、松山短期大学の益々のご発展とご支援を賜りました皆様方のご健康とご多幸を心よりお祈りいたし答辞とさせていただきます」

 続いて、卒業生を代表して熊野淳平さんより記念品(オーダーカーテン)の目録が贈呈されました。

 来賓紹介の後、中村時広知事・野志克彦松山市長からのメッセージが紹介され、祝電が披露されました。

温山会長より卒業のお祝い と 『温山会』への誘い

温山会を代表いたしまして一言お祝いのご挨拶をさせていただきます。本日はご卒業、誠におめでとうございます。心からお祝い申し上げます。皆さん は、本日、思い出多い大学生活を終え、いよいよ実社会への第一歩を踏み出されるわけですが、ご高承のとおり、現下の我が国は、時代の大きな曲り角、歴史的 な転換期にございます。

【「一歩前進」「人間力を磨け」】

【「一歩前進」「人間力を磨け」】

 戦後70年を迎えた我が国は、IT進化の中グローバル化がますます進み発展を支えてきた様々な社会経済シ ステムが、今や制度疲労を起し、社会のあらゆる分野で変化・改革が求められており、特に少子高齢化の進む中、地方創生なくして我が国に明るい展望が開けな いという状況下にもあります。
 このような時に本学をご卒業される皆さんには、進む分野はそれぞれ違いましても、これからの日本を背負おう開拓者としての大きな期待がかかっているのであります。
 さて、現在NHKが放送している平成27年度後期連続テレビ小説「あさが来た」は、幕末から明治・大正時代の激動の時代を 明るく元気に駆け抜けたおてんば娘(白岡あさ)と陽気にヒロインを支え続けたボンボン夫(白岡新次郎)の「 おもろい夫婦」が日本の朝を明るく照らす物語です。
 「出る杭は打たれる」と申しますが、「出る女性の杭」は、その当時さらにとことん打ちのめさ れやすかったと思います。丁稚を相撲で投げ飛ばし、女だてらに炭鉱事業や銀行経営に乗り出すなど目立ちに目立った実業家・白岡あさは、当時どれだけ多く打 たれたことでしょうか。しかし、あさの周りには、優しく支えてくれた夫や、決して屈しないその姿に思わず手を貸した多くの人の姿がありました。
  このドラマは主人公「白岡あさ」が、決して戦うのではなく柔らかな力で人々を巻き込みながら道を開いていった楽しい女性を描いています。私たちは、主人公 「あさ」を通して、激動の日本社会の中で、夢を見るだけでなく、叶えようともがきながら生きようとする姿に共感と感動を覚える次第です。
 皆さんの人生には、多くの可能性が秘められています。どうか、皆さん方一人ひとりが、人生への志や理想を高く掲げ、「いまに満足せず、さらに次の最善を目指して」、各々の分野で存分に力を発揮して頂きたいと強く念願いたします。
 私事になりますが、私が本学を卒業いたしましたのが、昭和45年(1970年)であります。爾来45年、建設業界に身を置いて参りましたが、多感な青春時代に強く心に留まった恩師や先人の言葉の数々は、今も私を律する規範となっております。
  「一歩前進」、「人間力を磨け」、「話し上手より聞き上手になれ」、「日々継続」「営業マンは心を売れ」等々。私は、自らを律し、励ましてくれる言葉の 数々を「心の支え」として今日まで歩んで参りました。是非、皆さんも自分なりの「心の支えとなる言葉」をもち、自らを戒め、励まし、掛け替えのない大切な 人生の質を高めて頂きたいと思います。さて、皆さんは、只今から松山大学温山会の会員となられました。松山大学は創立以来 約7万2000人の卒業生を輩出し、その大多数が、国内外の幅広い分野で活躍しております。
 今日ここに、新しく1,196名の方々が入会されまして、温山会は、さらに大きな同窓会組織となりました。
   温山会は、「会員相互の親睦と母校の発展に寄与する」ことを目的とし、現在、地元松山はもとより、北は北海道から南は沖縄にいたるまで全国各地に41支部があり、昨年ニューヨーク支部が加わり42支部となり、大学とも密接につながって、活発に活動を続けております。
 皆 さん方も、これからそれぞれの支部に加わって頂き、同窓生として先輩達と連帯の輪を強めて頂くと共に、若い力で温山会に新風を吹き込んで頂きたいと存じま す。終りに、重ねて1,196名の皆さんのご卒業をお祝い申し上げますとともに、私共温山会への加入を心から歓迎し、ご挨拶といたします。

                  平成28年3月15日            温山会 会長  興 梠  安

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