松山支部

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第370回松温会5月例会報告

更新日:2016年6月13日

第370回松温会5月例会報告

「第370回松温会5月例会」が5月19日(木)正午より、いよてつ会館ロビンルームにて開催された。開会にあたり秋川支部長から

【秋川支部長あいさつ】

【秋川支部長あいさつ】

「自分も石鎚山によく登っていた。また、高校時代の仲間とは御幸寺山によく登りロッククライミングもしていた。一緒に登山していた友達が南極に行きたいと、北海道大学へ進学して『ミニャ・コンガ』に挑戦したが、日本山岳史上最悪の海外遠征での遭難事故に遭い、8人が亡くなるという中唯一人生き残った。怖さあり楽しさありの“山”。今日は山の魅力について話が聞けるのではないかと楽しみにしている」との挨拶があった。

5月は愛媛山岳会峯本典寛(つねひろ)会長(大19)をゲストスピーカーに迎え『「山の日」制定に思うこと』をテーマに卓話をしていただいた。
 最初に、学生時代の『思い出・出来事』が紹介された。昭和40年代は学生運動が盛んであったが、商大はその影響を受けることも少なかった。入学と同時に山岳部に入部し年間100日近く山の関係に携わった。専攻は経営学部だったが実態は“山岳部”と言ってもいいほどで、山に熱中した。2年生の終わりの昭和43年2月23日、山岳部にとっても大学にとっても大変な出来事が起こってしまった。

【雪の石鎚山】

【雪の石鎚山】

 アメリカ・アラスカ州にあるサンフォード山(4,949m)への遠征のため、最終訓練を石鎚でやっていた。とても雪の多い年で訓練にもならない状態だった。その日も尾根で待機していたが「帰ろうか」と思ったとき、天候が急に回復し行動した。7名の参加者中、先輩4人が雪崩の犠牲となり亡くなった。生き残り3名の中の一人が自分だった。大きな事故にも関わらず、大学は山岳部を廃部とはしなかった。その年の4月に、フランス語の青木正樹先生が赴任された。また、高沢先生をはじめ、諸先生方のお力添えもあった。当時の大学の対応は凄く今でも驚きだ。その時の学長さんが増岡先生でその対応に感謝している。そのときお世話になった青木先生も今年の2月で天国に召された。50年近くの交流があったのでとても残念だ。
 今年から、日本の美しい豊かな自然を守り、次世代に引き継ぐことを銘記する日として、8月11日が国民の祝日“山の日”に制定された。海の日が平成8年に制定されたこともあり。山に携わる人間として、海があるなら山もあるはずと関係の方々にもアタックしてきた。やっと20年たって日の目を見ることとなった。なぜ山の日が8月11日なのか?国民の祝日は6月と8月のみない。多くの山開きが行われる6月1日を「山の日にしよう!」と6月1日に決まりかけたが、企業からの反対が多かった。次に、8月12日がお盆の関わりで決まりかけていたが、日航機が御巣鷹山で遭難した日でもあり前日の8月11日に落ち着いた。
 これまで全国13県で山の日は指定されていた。他県に先駆けて愛媛県は11月11日を山の日に指定していた。新たな山の日ができたら県としての山の日はどうなるのかを聞いてみたが、そのまま継続するということだ。

 東京都民は1300万人超いる。しかし、東京都民の7割以上が“ふるさとの山”を持っていないと言われている。愛媛には“ふるさとの山”が沢山ある。山の日制定の記念に家族や仲間と“ふるさとの山”を楽しんで欲しい。山岳連盟としては、8月11日に愛媛県と共催した記念行事として「石鎚山に親子で登ろう!」という企画をしている。皆さんもお子さんやお孫さんと参加してほしい。

【“ふるさとの山”親子&孫と】

【“ふるさとの山”親子&孫と行きませんか】

 さて、皆さんは山に対してどのような印象をお持ちだろうか。「苦しい・しんどい・汚い・危険だ」いわゆる3K。マイナスイメージが強い。これは、大変な誤解だと思う。私は「楽しく・無理なく・体によく・お金がかからない」最高のスポーツだと思っている。登山は、自分の体力に合わせて登る山やコースも全部決めることができ、自然と触れ合いながら楽しめる。結果的に健康になっているというスポーツだ。登り終わって麓に降りたときの心地よい疲れはストレス解消にもよい。
 山好きで有名な女優の市毛良枝さんが『山なんて嫌いだった』という本を出している。山に登り自然の環境に合わせて生きることを体験したことで“心身のリフレッシュ”ができることに感動して“病みつきになった”と書いてある。一度行ったら山の良さが分かる。ただ健康の為だけでは限界がある。散歩よりも山の方が飽きないとは思うが、草花や鳥・木、そして街道・景色・伝説等楽しみの材料を決めて登ると違った“山のかたちが見える”と思う。人によると三角点だけを目当てに登る人もいる。三角点の山。一等三角点の山に行く人とかいろいろだ。自分自身は歴史を感じる山が大好きで、祠・石仏・道標・一里塚等実際に行ったらこんな所に!と思うような所にロマンを感じる色々なものがある。先人たちが山に畏れをなし敬って作ったものだと思うが、隠れた所にもいろいろある。脱藩の道もある。自分が発見したら嬉しくなってくる。始める動機は何でもいいのだが、徐々に山が好きになって、登った結果健康になったというのがベストだと思う。

 愛媛県の山と言えば、愛媛県民だれもが誇りに思っている石鎚山は、『深田久弥の日本100名山』にも挙げられているが、西日本最高峰というだけではなく、石鎚山系という一つの山域のシンボルとして大変魅力を感じている。石鎚山を中心に愛媛県・高知県の県境東西50kmに広がりを見せ、1500m以上の山が20座以上の連なって、美しい山容を形成していることに感動している。見ただけでも美しい山容、奥深く、懐の深い山。色々と表情を変える山。いろいろな表現で人を引き付ける。石鎚山をスカイラインから見ると、槍ケ岳みたいに“ピラミッド”のように見える。誰も行くことができない山に見える。土小屋からは石を積み重ねた“城塞”のようにも見える。瓶ヶ森からは“台地”のように見える。尖った山がどうしてこんな山に見えるのかと疑問すら覚える山だ。槍ヶ岳はどこから見ても尖って見えてそれがいいという人もいるが、石鎚山は表情が違うので大好きな山だ。北側には“北壁”がある。北壁でロッククライミングの訓練をして北アルプスの滝谷や屏風のゲレンデに行っていた。四季を通じて美しい姿を見せている。色々な方角からみることでいろいろな石鎚を発見すると思う。

【瓶ヶ森】

【瓶ヶ森】

 高い山に目が行きがちだが、低い山“里山”もいい。昔の里山は整備されていたので行きやすかった。林業従事者が少なくなって道が荒れているが、それでも松山・東温市には山城があったためロマンを感じる山が多い。松山市は高いビルが多く建っており、山が見えにくいが郊外には山が広がっており、楽しんでいただきたい。例えば「皿ヶ嶺・高縄山・明神ヶ森・石墨山・楢原山」といった歴史のある山。里山・信仰の山として「恵良山・小富士・淡路ヶ峠」等は戦国時代の名残りをとどめている。

 東予地方では、赤石山系が主になる。各市町にはハイキングコースを基にしたパンフレットを作成しているので、参考にして是非行ってみてほしい。

【峯本会長「ゆうゆう山歩き」】

 愛媛新聞への連載を「愛媛ゆうゆう山歩き」という本にしてもらった。15年ほど前のものでちょっと古いが、高い山ばかりではなく、里山も含めて100山取り上げているので、参考にしてほしい。

登山は健康であれば誰でもできる、単純で手軽なスポーツ。最初から無理に構えることなく、リーダーに任せてそのアドバイスを受けながら継続して山登りをすると1年で立派なハイカーになれる。ただ、山は山。自然は登山者がベテランでも初心者でも、子どもでも女の人でも男の人でも、全く手加減しない。途中で捻挫や熱中症等アクシデントが0ではない、救急車も入らないので、その準備は怠らないようにしてほしい。

登山するときの注意が挙げられた。
①自分の体力に合った登山計画を練る・・・厳しすぎる挑戦はしない。
②インターネット情報が一番危険:簡単ですぐ行けそうな表現が多いので注意する。
③山はリーダーと一緒に行く。単独は禁物です。
④登山届を出す。(万が一の時の捜索に)
⑤登山靴を履く。(足首の捻挫予防)
⑥非常食を準備する(飴・チョコレート等)
⑦ヘッドランプ・携帯電話・雨具の準備をする。
⑧着替え・・・気温の低下に注意する。
 ・100mで0.6度。皿ヶ峰で6~7度低下する。
⑨山では午後が危ない。昼食を頂上で食べられるように計画する。
⑩水分を摂ること。
⑪雷に注意。雷注意報が出ると。即中止する。
⑫引き返す勇気が大切。(体調・天気)
⑬日本一美しい山のトイレ(約1億4000万円)を石鎚山・二の鎖下に設置。1回の使用料が100円になります。
⑭自然との共生。(山は海の母)
以上のようなことに気を付けて、“自分に合った百名山”を目指してほしい。

 国体が愛媛で開催されるのは昭和28年以来64年振り。「笑顔をつなぐえひめ国体」で今回は単独開催だ。開催期間は平成29年9月30日から10月10日まで。山岳競技はマイナーなため一般には知られていないが、今回東京オリンピックの追加競技種目としてIOCに推薦され、今年8月に正式決定される。松山大学からもオリンピック選手が出てくれると楽しみだ。

【石鎚クライミングパーク】

【石鎚クライミングパークSAIJOの紹介】

 次に、パンフレット(石鎚クライミングパークSAIJO)をもとに競技の紹介があった。クライミングボードは、2名1組での競技で得点を争うもの。山岳連盟でも選手強化に取り組んでおり、天皇杯獲得に貢献することを目指している。和歌山国体では少年男子は9位、成年男子は10位だった。8位入賞ができると得点になるので、今一歩届かなかったことが残念だった。最後に「変化が激しい時代だからこそ、山で悠々とした時間を過ごしてほしい」と結ばれた。

卓話終了後、初めて松温会参加の大学65回、平成28年3月卒業のフレッシュウーマンに自己紹介をしていただき閉会となった。
             会社での健闘を祈っております。

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