入学おめでとう ~1,457名が仲間入り~
1,457名の新たな門出を祝して
―松山大学大学院・松山大学入学宣誓式―
平成28年4月3日(日曜日)10時00分から、ひめぎんホールにて「松山大学大学院・松山大学入学宣誓式」が挙行された。当日はあいにくの曇り空ではあったが、大学院5研究科7名、大学5学部6学科1,450名(編入生24名含む)、合計 1,457名の新入生が希望を胸に式に臨んだ。
入学宣誓式では大学院5研究科を代表して、経済学研究科博士前期課程(修士課程)の真﨑雄大さんが「松山大学大学院に入学の上は、学則を守り、専攻 分野における研究に励み、高度の専門性を身に着け、人格の向上に努め、将来有為の人材となることを誓います」大学5学部6学科を代表して人文学部社会学 科の向井梨乃さんが「松山大学に入学の上は、学則を守り、学問研究に励み、人格の向上に努め、常に社会の一員としての責任を自覚し、将来有為の人材となる ことを誓います」とそれぞれ宣誓した。
【村上学長式辞】
新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。皆さんの入学に対して心から歓迎の意を表します。保護者の皆様におかれましては、ご子女のご入学を迎えられ、感慨無量でさぞかしご安堵なされているものと拝察いたします。本日、1,457名の新入生の皆さんを本学に迎えるに当たり、多数のご来賓ならびに保護者の皆様のご臨席を賜り、平成二十八年度松山大学大学院・松山大学入学宣誓式をかくも盛大に挙行できますことは、本学の光栄とするところであり、教職員を代表して心から御礼申し上げます。
さて、新入生の皆さん、本学に入学の上は、本学の学生として自信と誇りを持ち、勉学や課外活動などに励んでいただきたいと願って、最初に松山大学の歴史と教育理念である校訓「三実」(さんじつ)の精神についてお話しておきたいと思います。
松山大学は、大正12年(1923年)に創立された旧制松山高等商業学校がその始まりです。松山高等商業学校創設に当たっては、新田長次郎[雅号温山(おんざん)]、加藤恒忠(つねただ)[雅号拓川(たくせん)]および加藤彰廉(あきかど)の協力があり、これら三人の方々を本学創立の「三恩人」と呼んでいます。教育家であり、山口高等中学教諭、大阪高等商業学校・校長を歴任された後、北予中学[現県立松山北高等学校]の校長となった加藤彰廉は、当時の松山市長であった加藤恒忠に、この松山の地へ高等商業学校の設立を提案しました。この提案に加藤恒忠は理解を示し、友人である新田長次郎に高等商業学校を設立するための資金の支援を依頼されました。そして、松山市出身で、当時、日本初の工業用革ベルトの開発を遂げて製革(せいかく)業において成功し、世間からは「東洋の製革王」と呼ばれていた新田長次郎が高等商業学校設立の提案に賛同し、「学校の運営には関わらないこと」を条件に、設立資金として巨額の私財を投じ、わが国の私立高等商業学校としては三番目となる松山高等商業学校を創設されました。その後、本学は、松山経済専門学校、松山商科大学を経て、平成元年に松山大学と改称し、93年を経た現在では5学部6学科に5研究科を擁する総合大学にまで発展してきています。
松山大学は、教育理念として「真実」「実用」および「忠実」の三つの「実」からなる校訓「三実」を掲げてきました。松山高等商業学校の初代校長となった加藤彰廉が創唱した校訓「三実」の精神は、第三代校長田中忠夫によって、真実とは「真理に対するまこと」、実用とは「用に対するまこと」、忠実とは「人に対するまこと」であると説明されています。
「三実」を現代風に解釈すると、
「真実」および「実用」は学びの態度、「忠実」は人としてのあり方を示しています。「真実」とは、既存の「知」に満足することなく、
『真理を求めるために自ら学び、究め続け』ようとする態度です。
「実用」とは、「知」を単に
『知識として学ぶだけでなく、自らの生活や仕事の中に活かすべく、常に現実的な問題を念頭に置きながら学ぶ態度』です。
「忠実」とは、人間関係や社会において、他者と誠実に向き合い、倫理的な態度はもとより、
『積極的に人と交わり、自らを謙虚に、そして互いの意見を尊重し共有』しようとする態度です。校訓「三実」は、本学で学ぶ皆さんが拠り所とすべき教訓です。
本学がこれまで社会に輩出した約72,000名の卒業生は、経済界を中心に全国的に活躍し、高い評価を得てきました。これも卒業生の方たちが校訓「三実」の精神を大切にして活躍してこられた結果であり、これが松山大学の伝統の礎になっていると確信しています。
さて、皆さんは、これからは、自分の生活や将来に関する多くのことを自分で決めていかなければなりません。しかも、そこには正しい答えはありません。皆さんにとって、高校までは、そのような選択を強いられる機会は少なかったかもしれません。大学進学という共通の目標があり、そのために必要な勉強や手続き、さらには自分のテストの実力さえも、先生の指示を待ち、その指示にしたがっていれば、適切な時期に自然と分かるものでした。もちろん、本学においても、皆さんの大学生活や進路などをサポートするガイダンス等を実施しています。しかし、それでも大学には、正課授業の組み方や研究テーマ、部・サークル活動といった、皆さんが自分で決めるべきことが多くあります。大学は、皆さんの成長を促すための有意義な講座、留学やインターンシップなどの機会を設けています。それを活かすかどうかは皆さんの行動や決断にかかっています。 皆さんはこれから、各学部・学科で専門教育等を受けることになります。大学の専門教育等には、教科書などに書かれていることを暗記することだけではなく、それらの情報・知識がどのような調査・研究を基に構成されてきたかを探索することや、先人達の調査・研究から自分なりの課題を見つけ出して発展させることまでを含みます。学部・学科ごとにそれぞれ分野は異なりますが、自分の頭で考え、問い続け、必要な情報を自ら収集し、取捨選択し、分析して、自分が行うべきことを自分で決めていくという点では、大学生として求められることは同じです。この繰り返しが、皆さんの大学生活、さらにその先の生活を実りあるものとすることになるでしょう。卒業後の自分の将来に対する目標を持って、自らを律して大学生活を過ごすことで、自身の能力を高めていくことが重要です。
皆さんが抱いている目標を達成するために、本学の教職員は支援を惜しみません。社会で活躍できる有為な人材になるために、充実した学生生活が過ごせるよう、教職員一同、皆さんを支えます。皆さんは、目標を達成するために何をすべきかを考え、行動してください。皆さんがご修了・ご卒業を迎えられるときに、自らの目標を達成できていますよう祈念して、式辞といたします。
平成28年4月3日 松山大学 学長 村上 宏之
来賓祝辞では、中村時広愛媛県知事(原昌史愛媛県総務部長が代読)から新入生に「松山大学は、この春から、学生の自由な発想での自律的な学修をさらに促進、支援するため、新たに樋又キャンパスをオープンされるなど、一層の教育環境の充実に力を尽くしておられます。新入生の皆さんは、松山大学の恵まれた教育環境のもと、自らの夢や目標という坂の上の雲を目指し、困難を前にしても果敢にチャレンジする前向きな気持ちを忘れず、豊かな人間性や社会性、コミュニ ケーション能力等を養われますことを強く期待しております」とエールが贈られた。
最後に、本学吹奏楽部とグリークラブから校歌が披露され閉式した。入学式終了後、学生支援室からのオリエンテーション、石川正一郎教授の『学生生活の安全にかかわる講演会』の後、重松修父母の会会長より父母の会の趣旨説明等がなされてすべての日程が終了した。
しっかりと目標を見定めて、高みを目指してほしいものです。